桜空あかねの裏事情

不意に思い付いた人物の名を挙げれば、ジョエルは更に笑みを濃くした。


「お嬢さんは、異能者についての知識を身に着けたいそうだ。随分と悠長なことだ」


見下したような物言いには関心しないものの、それよりジョエルが何故知っているのかが疑問だった。


「アーネストの奴め。いくら慣れているからとは言え、直接頭に共有させるとは。こちらの負担も少しは考えてほしいものだ」


独り言のように呟くジョエルから察するに、その情報はアーネストからもたらされたものである事が分かり、結祈は心の内で納得した。


「奴は昔からそうだが、あまり人の事情を考えない癖がある」

「……それは貴方も同じかと」

「何か言ったか?」

「いいえ。アーネストさんに、直にそう言えばいいと思いますが」

「そうだな。だが今は無理だ。アーネストが手に入れた情報を、無理矢理与えられているだけに過ぎない。一方通行では意思疎通は出来はしない」



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