桜空あかねの裏事情
「あっそうなの。じゃあ、洗い終わったら実家に送っといて」
「実家ですか?」
「そう」
答えながらも、陸人は面倒くさそうに頭を掻く。
「昨日は一応、了解したけど?ジョエルの提案なんて受け入れるわけないし。という事で、しばらく実家に帰るよ」
「えっ…!?」
思わず声を上げる結祈。
しかし当の陸人は、気にする様子もなく冷蔵庫を開けて牛乳を取り出す。
「そんなワケでよろしくー」
「待って下さい。どういう事です?」
突如告げられた言葉に、溢れ出る焦燥感を抑えながら冷静に問いただす。
「どうもこうも、ジョエルの思惑通りにはさせないってこと。分かるっしょ」
「ですが……それでは、あかね様が」
分かり切っている答えを言われてもなお、結祈は食い下がる。
「あかねちゃんねぇ……悪い子じゃないのは分かるんだけどさー、何か気に入らないんだよね。ジョエルの息がかかってる子だし。信用出来ないよ」
「そんな――」
投げられた本音に、まるで自分が言われてるかのように結祈は傷付いたような悲しい表情を見せる。
それが気に入らなかったのか、陸人は追い討ちを掛けるように口を開いた。
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