桜空あかねの裏事情

「結祈はさ、あかねちゃんの事すっごく気に入ってるみたいだけど、得体の知れない子だって、ちゃんと理解してる?」

「得体の知れない?そんな事は……」

「そりゃ素性は明らかになってるけどさ、よく聞けば今まで異能に悩む事もなく、ましてや生家の事はおろか御三家の事さえ知らないじゃん。それってさ、普通の人間と変わりなく生きてきたっていう何よりの証拠だよね」

「それは……」

「そんな子をあの用心深いジョエルがリーデルに推薦するなんて、あまりに不自然。退屈しのぎとか言ってたけど、絶対ウソ。何か思惑があるはずだよ」


まるで確信したかのような陸人の物言いに、否定をする事さえ出来ない。
的を得すぎているのだ。それも的確に。
普段何も考えてなさそうに見える彼だが、洞察力に優れているのも事実だった。


「結祈のそのひたむきなまでに従順なとこ?ボク嫌いじゃないけどさー、もう少し人を疑う事も考えたら?」

「……」

「それとも結祈は、ジョエルの言いなりとか?」

「ッ。そういうわけでは……」


否定するつもりが、何故か歯切れの悪い結祈。


「ふぅん。まぁいいけど……このままだといつまで経っても、ジョエルの都合の良いお人形さんだよ?」

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