桜空あかねの裏事情

「あくまで私だけが得られるものだからな。まぁ仮に知ったところで、他人にどうこう言われる筋合いもない」


――私の目的は、あの時から何一つ変わっていない。


「まぁ最も、全てにおいて今が大事な時期であるのは理解しているつもりだが」


オルディネの解散の危機に、不穏な空気を含みながら分裂しかけている内部。
状況は芳しくないとはいえ、ジョエルからしてみればこれほどの退屈しのぎはないであろうと心底、楽しんでいた。


「……して。オルディネは解散したら、例の話を受けてくれるかのう?」

「例の?……ああ。確かお前の経営するチームに所属するかしないかだったか」


老人は首をゆっくり縦に振る。
オルディネの解散の噂が流れ始めてからというもの、自チームに引き入れようとするスカウトが凄まじかった。
やはり五指に選ばれているという称号だけで、食い付くものだと他人事のようにジョエルは思う。


「そうだな。オルディネが解散した時にでも考えるとしよう」


不適な笑みを浮かべてジョエルは老人に向けて言い捨てる。
だが彼には予感にも似た確信があるのだ。
オルディネの解散など儚き夢のように消え失せ、新たなリーデルと共に過去の栄光を戻すが出来ると。

そして


その全てが



あの少女の手に
委ねられているということを。

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