桜空あかねの裏事情

“まだ養成所にいると思うけど、順調かな?
君は君なりにやれば、それでいいからね。
話は変わるけど結祈からの伝言で
……もし良かったら、帰りにヴィオレットに寄ってもらえませんでしょうか?取り行って欲しい物があるのです……
だそうだよ。ジョエルの機嫌が良かったら、お願い出来るかな?”


「ヴィオレット…」


湊志がオーナーをしている飲食店・ヴィオレット。
アーネストの行き着けの店で、あかねもまた店に流れる雰囲気がとても気に入っていた。
しかしここ数日は何かと忙しく、訪れたのはアーネストに初めて紹介された日以来であると思い出す。
あかねは迷うことなく、了承の内容を書いたメールを送る。
やり取りを終えると携帯を閉じて、再びジョエルを待つことにした。


「ねぇお姉ちゃん」


不意に声が聞こえた。
顔を上げるとそこには小学生くらいだろうか。見知らぬ少年が、こちらを見つめていた。


「……私?」

「うん!」


あかねが声を掛けると、少年は嬉しそうに頷いて駆け寄る。


「お姉ちゃん、さっきからここにいるけど何してるの?」

「人を待ってるの」

「ふーん。まだ来ないの?」

「そうみたい」

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