桜空あかねの裏事情

ジョエルを待ってから数分経つが、一向に現れる気配は無い。
苦笑しながら少年に答えた。


「じゃあさ」

「うん」

「お姉ちゃんしばらく一人だよね」

「うん……ん?」


発せられた言葉にあかねは何故か違和感を抱くが、少年は変わらず輝いた眼でこちらを見ている。


「だったらぼくと来て!遊ぼうよ!」


そう言って少年はあかねの腕を掴み、引っ張って歩き始める。


「ちょ、ちょい待って!遊ぶのはいいけど、ここじゃダメ?」

「ダメー!」

「うーん……」



――この子には悪いけど
――いなかったらジョエルに
――色々言われそうだからなぁ。

あかねは申し訳なさそうに口を開く。


「あのね、お姉ちゃんが待ち合わせしてる人は口うるさくて、とーっても意地悪な人なの」

「そうなの?」

「うん。だから来るまでここにいないと、怒られちゃうんだ。ごめんね」

「むぅ……」


断ると下向く少年。
泣いてしまうのではと思ったあかねは、悟られぬように顔を覗き込もうとする。
が、それよりも早く少年が頭を上げた。


「お姉ちゃん!ぼくの目を見て」

「目?」


言われた通り、少年の黒色の目に視線を移す。


「ぼくと行こうよ?ね?」


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