桜空あかねの裏事情

「……お二人が賛同しているなら、私も構いません。香住くんの人の良さは理解しているつもりだし、何より桜空さんも心強いと思うから」


二人の意見を聞き終えた朔姫は、あかねの顔を見ながらそう答えた。
万場一致の声にあかねは自分のことのように喜び顔を綻ばせようとするが、そこでふと思い出す。
オルディネに所属する者達の中で、誰よりも意見を聞いておかなければならない人物を。
そう思った瞬間、ふと隣に座るその人物を見る。
至近距離だからか、サングラス越しでもその紫の瞳はよく見える。


「どうした?」


視線に気付いたのか、はたまた耐えかねなかったのか、ジョエルは声を掛ける。


「さっきから人の顔ばかり見ているが」

「うん。ジョエルはどうかなぁって?」

「どう、とは?」

「ジョエルは昶がオルディネに入ること賛成してくれてるのかなって」


表情を伺うように尋ねると、彼は目を合わせることもなく淡々と答える。


「異論はない。オルディネにとっては貴重な人材だ」

「そうじゃなくて」

「?」


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