桜空あかねの裏事情
自分の意図とは違った言葉に、あまり表情を崩さないジョエルが不思議そうな顔をしていた。
「オルディネの事とか全部取っ払って、ジョエル自身が歓迎してくれているかってこと」
昶がオルディネに入るきっかけとなった理由はただあるにせよ、ジョエルが彼を動かしたことも否めない。
だからこそあかねは、ジョエル個人の真意を聞きたかった。
何故彼がそうしてまで、昶をオルディネに所属させたいのか。
その意図を理解したのか、ジョエルは目を少し細め、今度は視線を合わせながら答え始めた。
「…そうだな。私個人としても彼の事は歓迎しているよ」
「異能が珍しいから?」
「ああ。だがそれ以上に、君が望むからだ」
「私が?」
あかねは思わず首を傾げる。
「君は私にとってリーデルとなる希望を持った存在。君の望む事は全て受け入れるつもりだ」
「全てって……嫌な事でも受け入れるっこと?」
そう問えば、ジョエルは躊躇することなく頷く。
「当然だ。少なからず組織とはそういうものだ。自分の意志全てがまかり通るものではない。仮に拒んだとしても、それが聞き入れられる事もそうそうない。」
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