桜空あかねの裏事情
「山川さん?」
「私ので良かったら…………あーん」
「え、ええ!?」
昶は少女の対応に慌てて、身をたじろかせる。
すると少女は、不思議そうに首を傾げて口を開いた。
「……やっぱり桜空さんじゃなと駄目?」
「そ、そそんな事はないです!」
「何故に敬語?」
「あかねは黙って食ってろ!!」
「はいはい」
気を紛らわすようにあかねにそう言うが、少女は腕を下げる事はせず、困惑した昶は状況に従うように突き出されている苺を食べた。
「美味しい?」
「あ、ああ。その……あ、ありがとう山川さん」
「どういたしまして」
少女が優しく微笑むと昶は、瞬時に顔を真っ赤にして俯いた。
その様子を面白そうに眺めていたあかねは、彼の耳元に近付いて。
「……ッ……おめでと」
「なっ!?」
何を言ったのか聞こえなかったが、昶が更に顔を赤くしたところを見ると大体予想はついた。
それから二人のふざけ合いを眺めていると、ふと視線を感じ探してみれば昶の左隣に座っている少女がこちらをじっと見ていたことに気がつく。
視線が合えば少女は、すぐに視線を逸らした。
……怪しまれているのだろうか。
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