桜空あかねの裏事情
「そういえば葛城さん。私が部屋から出て行った後、ジョエルと何話してたんですか?」
「……ああ」
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「気になるのであれば、詳細は後ほど伝えよう」
「分かった」
納得したあかねが素直に部屋を出る。
扉が完全に閉まる音を聞くと、ジョエルは一度だけ扉の方に視線を向けると口を開いた。
「君はどう思う?」
「……何を?」
「お嬢さんについてだ」
何故いきなりそんな事を聞くのかと疑問に感じたが、俺は黙って思っている事を述べる。
「年相応に明るくて元気……何より素直だと。養成所にいる生徒の大半は皆ひねくれているから、余計にそう思うのかも知れないが」
両親が楽観的だった所為か、俺は異能者である事をこの体質以外で悩んだ事はなかった。
異能者だからと蔑まれたり忌避された事はなかったわけではないが、それでも自分自身を受け入れてくれる人が確かにいる事を知っていたから、それは大した障害でもなかった。
しかし養成所に入ってくる大半は、蔑まれ忌避され深い傷を負った者達だ。
そんな彼等に比べれば、御三家に生まれそれ相応の教育を施されている彼女は、十分恵まれているのだと俺は思う。
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