桜空あかねの裏事情

黎明館 二階 一室





「ごめんなさい、泰牙さん。いつも遅くなっちゃって」


朔姫達がギネヴィアの部屋に集まっていた頃、あかねは泰牙の元に一人で赴き、見舞いと称して親睦を深めていた。


「いいよいいよ!君は毎日来て、俺と話してくれるからね。むしろ嬉しいよ」

「そう言ってくれるのは、有り難いんですけど」


苦笑しながら、受け答えをするあかねに対し、更に言葉を続ける。


「それに君は学校にも行ってるのに、あのサングラスの人にもこき使われてるとか」

「あー……まぁ、それなりに」

「大変だよね。詳しくは知らないけど、オルディネってそろそろ危ないんでしょ」

「そうですね……でも危ないのは、今だけじゃないですかね」

「今だけ?」

「何というか……その変態サングラスが詳しく知ってると思うんですけど、とりあえず私達は素直に諦める事はしないんで」


具体的な事柄は告げず、頑なで確かな意志だけを告げる。
まるで自分に言い聞かせるように。
その言葉を聞いた泰牙は、観察するように目を逸らさない傍ら、どこか面白そうに目を細めた。


「なるほどね〜。君って見かけによらず、随分強かなんだね。上司さんと対立してるから少し不安なのかと思ったよ」

「いや、対立ってほどでも………え?」


あかねは目を瞬かせる。


「あの、泰牙さん…」

「んー?何だい?」

「その、私が対立とかって……」

「言ったね」

「一体誰から?」

「誰って昶くんだけど。確か君の親友だよね?もしかして違った?」


話してもいない近況を知っている泰牙に、疑問が膨らみつつあったが、友人の名が出て納得する。

――そう言えば、昶もたまに会ってるって言ってたっけ。
なに話したんだろう。



「…いえ、合ってますよ。昶とは何かお話したんですか?」


さり気なく尋ねると、彼は食いつくように話し始める。

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