桜空あかねの裏事情
「うん。と言っても、少しだけね。今時の子だからひねくれてるかと思ったんだけど、すっごい素直だったからビックリしたよ!」
「昶はそういう性格ですよ」
「ホントにね〜!余計な先入観だったよ」
陽気に話し出す彼に対し、相槌を打ちながら、あかねは脳裏で別の事を思い浮かべていた。
『その方が何かと都合が良いからだよ。君が命の恩人であることを認識させた方が……ね』
それはジョエルと言い合った夜、アーネストから返ってきた言葉だった。
泰牙と対面した時、彼は自分が最初に見つけた。ではなく、あかねが最初に見つけた。と、彼に説明したのだ。
いきなりそう説明され、当初戸惑い、後に本人に問い詰め返ってきた答えは、不満の他でもなかった。
そんな様子を見て、アーネストは苦笑し、そして――。
『あかね嬢。君の何に対しても素直に、そして誰に対しても真剣に向き合う姿勢が、私はとても好きだよ。けれどね、それだけでは……望むもの全ては得られない』
――アーネストさんはああ言ったけど、正直分からない。
素直に思ってることを話しても、泰牙さんと分かり合う事が出来ないって事?
それとも、泰牙さんをオルディネに所属させる事は出来ないって事?
分からない。
正直に話して気持ちを知ってもらった方がいいのに。
本心を隠したまま接するのって、なんだか居心地悪いし気持ち悪い。
でも……。
再び泰牙の方に意識を傾けると、相変わらず陽気に見舞いにきた人達との会話や出来事を話している。
――どうしてだろう。
今はアーネストさんの言う通りにした方がいい気がして。
まだ本当の事は話してない。
どことなく葛城さんとは違って、泰牙さん自身が掴みづらい。
陽気に振る舞っているけど、違和感がある。
敢えてそうしている気がして。
実際はそんなに明るい人じゃないような……。
良い人だとは思うんだけど。
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