桜空あかねの裏事情

「あかね様がどこにいるのか、おおよその目星は付いています。ですが、そこには問題が御座います」

「問題?」

「ええ。あかね様はアロガンテの屋敷に捕らわれている可能性が高いです。先程言ったように、屋敷に侵入して彼女を救出するに越した事はないのですが……」


真剣な面持ちで話を続ける結祈だが、その表情は次第に険しさを含ませる。


「その屋敷には地下があるのですが、どうやら何かを閉じ込めて外に出さないよう、複雑かつ頑丈な造りになっているようです。直に見た事は無いので、どう言ったものなのか理解しかねますが……」

「じゃあ……もしあかねが、そこにいたら」

「はい。何か対策を練らねば、難しいと思います」


それが本音であった。


「うーん……協会は助けてくれねぇの?」

「そんな事ありませんよ。あかね様はまだ無所属ですが、御三家の息女ですから。むしろ、それが最もな正攻法です。ただ協会が動くには、幾度か手続きを踏まなければならず、早くて三日、遅くて二週間はかかるかと」

「二週間!?それじゃあ」


皆まで言わなくても分かっているのか、結祈は静かに頷く。


「ですから、なるべく早く救出しなければなりません。あかね様の為にも、オルディネの為にも」


言い終わると結祈は立ち上がる。


「結祈?」

「もうじき、ギネヴィアさんがこちらへいらっしゃいます。そうしたら、私は彼女と共にアロガンテの屋敷へ潜入します。もちろん、ジョエルには内密で」

「ふ、二人だけでか?それって危ないんじゃ」


不安そうな表情をする昶に、結祈は諭すように優しい笑みを浮かべる。


「大丈夫です。潜入捜査は慣れてますので」

「けど、」

「すぐに帰ってきますから。それまで昶は、ここで待っていて下さい」


一方的にそう告げると、結祈は静かに部屋から去っていった。


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