桜空あかねの裏事情

大徳高校 理科室



「ええ!?マジッすか!?」


瀬々の声が理科室に木霊する。
彼の大袈裟な仕草に、朔姫は溜め息を吐く。


「くだらない嘘はつかない」

「いや、それは分かるんスけど……」


弁明しようとすると、朔姫は限りなく無表情で見遣り、瀬々は軽く溜め息を吐く。


「……ビックリしちゃったんスよ。まさか帰りに襲われるとは思わなかったッスから」


その言葉に、朔姫は鋭い眼差しを向ける。


「……という事は、あなたは知っていたのね」


あかねが狙われていた事を。とは敢えて言わずに問えば、瀬々は曖昧な笑みを浮かべて口を開く。


「それは……俺も情報屋の端くれなんで」

「……」


返ってきた言葉に、どうして教えてくれなかったんだ。と思わずそう言いたくなるのを、抑えようと口を噤む。
情報屋にとって、情報は掛け替えのないもの。
命であり、生きがいでもあり、そして財産でもある。
例えそれが、どんなモノであったとしても。
そして彼等には、共通して等価交換という行動原理がある。
知りたいのなら、それと見合うものを対価として差し出さなければならないのだ。


「山川さんに言う必要はなかったと思うけど、確かに言っておいた方が良かったかもッスね」

「どういうこと?」

「実を言うと、俺が知る前にジョエルさん達が既に知ってたんで、過信してたんスよ」


椅子に座り直して、瀬々は話し始める。


「だって異能者の中でも、猛者中の猛者である五指のジョエルさんが警戒してるんなら、フツーに大丈夫だろうって思いやせん?」

「それは…」


否定は出来ない。
ジョエルにはそう思わせるほど実力があるのだ。


「けど、よく考えてみたら四六時中、ジョエルさんが見張ってるわけじゃないんスよね。そこは盲点だったッス」

「………」

「まぁ一応お詫びとして、情報をいくつかご提供致しやす」


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