桜空あかねの裏事情
大徳高校 校門前
「おそーい。いつまで待たせるわけ?」
朔姫に言われた通り、あかねは靴を履き替え、鞄を片手に外に出た。
校門まで出ると、そこには確かに見知った人物がいた。
ところがあかねは、その人物を思わず凝視していた。
「――ホンット信じらんない。……って、聞いてんの?」
「えっ…あ。す、すみません」
凝視している間、何やら話していたようで、声を掛けられる。
しかし全く聞いてなかったあかねは、目の前にいる青年――陸人に軽く頭を下げた。
「ハァ……これだから子供は。ささっと行くよ」
苛立ちを隠すことすらせず、盛大なため息を吐くと、陸人は背を向けて歩き出す。
その背にを追うように、あかねは軽く駆け出し、陸人の後に続いた。
「………」
「………」
歩いて数分。
景色は既に、戸松の街並へと変わっていた。
だがその間、陸人とあかねは終始無言であり、更に一定の距離を空けて歩いていた。
「あの、陸人さん」
「……なに?」
街の賑わいの中でも、消えることのない痛々しい空気。
流石に居たたまれなくなったあかねが声を掛けると、陸人は間を空けながらも反応を示した。
「その…今日はどうして学校に?」
「ジョエルに言われたからー。つか、それさっき話したんだけどー」
「…そうですか。あと、これからどこに?」
「それもさっき言ったし」
怠そうに紡がれた刺々しい言葉。
それを最後に、あかねは沈黙し、そこで会話は途切れる。
だが間もなくして、今度は陸人から声を掛けてきた。
「あかねちゃんさー」
「はい」
「もうすぐ時間切れだけどさー、覚悟は出来てるわけ?」
「…覚悟ですか?」
あかねが訝しげに問い掛ける。
「現状から考えるとー、所属者は増えてるよ?けどさー、キミがリーデルになれる見込みはないじゃん。そうなるとー、結局オルディネは解散するよね」
「…まだ決まってないと思いますが」
「決まったも同然じゃん。残りあと五日で、何が出来るわけ?それとも、ボク達を絆す作戦でもあったりするの?」
.