桜空あかねの裏事情


それから間もなくして、台所へと向かったあかねは槐と対峙した。
以前の出来事による後ろめたさからか、話を切り出すことに時間が掛かったが、それでも自身の想いを告げた。

ごめんなさいと。
羨ましかったと。
嫌いではないと。
時間はかかっても自分なりに向き合うと。

拙い言葉ながら言える限りの事を伝えた。
傷付けておいて随分と勝手な言い分だっただろう。
だが槐はあかねの話を最後まで聞いていて全てを言い終えた後、彼女は目を潤ませながら嬉しそうに笑みを浮かべていた。

そして槐の想いを聞いた。

ずっと不安だったと。
本当にここにいていいのか。
知らず知らずに傷付けてしまったと。
ごめんなさいと。

彼女もまた悩んでいた事を知った。
互いの想いを吐露した後も、二人は言葉を交わしていた。
学校や友達の事など他愛のない話だったが、そんな話が出来ただけでも十分だった。
今はまだぎこちなくても、いつか気兼ねなく話せるようになれる日が来ればいい。

槐の笑顔を見て、あかねはそう思った。


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