わたしの魔法使い
お腹を抱えて笑う私を、颯太さんは恥ずかしそうに見つめている。

その顔がまたおかしくて、どうしても笑いが止まらない。


すごく綺麗な顔しているのに、やっていることは土下座とゴン太との取っ組み合い。

顔と行動のバランスが取れてない！



それがおかしくて、何度も何度も笑いの発作に襲われる。


もちろん何度も止めようと思った。

聞きたいことがたくさんあるから。

でも、どうしても止まらない。


私は驚くほど長い間、笑い続けた。



｢――ごめんなさい。でも…やっぱり突っ込みどころ満載！｣


やっとのことで笑いを治めると、私は颯太さんの顔を見た。

そこには、少しだけ顔を赤らめて、それでもなお綺麗な顔があった。


｢…笑いは…治まりましたか？｣


少し不安そうな、それでも優しい瞳が私を見つめる。

その瞳を見て、やっと自分が何をするべきなのかを思い出した。
< 41 / 303 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop