わたしの魔法使い
俯いて座る颯太さんを見ていたら、もう気分はすっかり警察官。


しかも、綺麗な男の子を虐める悪徳婦警!



「――で!名前は?」

「……颯太…です……」

「名字は?ないの?言えないの?」

「………」

「ここに来た目的は?誰に頼まれたの?」


目の前にカツ丼とライトがないのが惜しい!


「……ここに来たのは、あなたの笑顔を守るためです……」


俯けていた顔をスッとあげ、真剣な眼差しが向けられる。

何かを訴えるような瞳は、熱を帯びていているけれど、その奥に悲しい何かを抱えていた。



颯太さんに見つめられ、私は既視感に襲われる。



何だろう…?

私、知ってる……?

こんな風に見つめる目を……?


でも……どこで……?


気のせいではない。

知ってる……この目を……


初めて会ったときよりももっと真剣で、痛いほど強い。


そんな颯太さんの目を見ていたら、次の言葉が見当たらない。

聞きたいことはたくさんある。

誰にここを聞いたのか?

何を知っているのか?

どこまで知っているのか?

あの人は知っているのか……?


だけど、何一つ聞けない。

聞きたいのに……知りたいのに……





…――グ~~~……




真剣な思いとは裏腹に、体は正直だった。



おっ、お腹が鳴っちゃった?!


< 42 / 303 >

この作品をシェア

pagetop