わたしの魔法使い
ひ、卑怯!!

目とウルウルさせちゃって!

そんな綺麗な顔して!

子犬みたいな目をして「追い出す?」なんて…

しかも、あんなに美味しいご飯まで作っちゃって!

もう…「出ていけ!!」なんて言えないじゃない。

しかも…ちょっとだけ「幸せかも」なんて思っちゃったじゃない。


「誰が…ここを教えたの?それを聞いてからじゃないと、何とも言えない…」


そう。

その答え次第で考えよう。

あの人じゃなければ…いい…


颯太さんは少しだけ考えるような顔をして、まっすぐと私を見た。

そこにはもう、子犬のような目はなくて、初めて会った時と同じような、悲しい目があった。


「僕は…言ったでしょ?偉大なる魔法使いに、君の笑顔を守るように言われたって。

最初は魔法使いに言われてきたんだ。

でも、今は僕自身が君を守りたい。

君のそばで…」


その悲しみを帯びた真剣な目に、「魔法使いって誰よ?」なんて突っ込みができない。


それに…

「君を守りたい」

だなんて……

照れちゃう!
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