わたしの魔法使い
颯太さんって、本当に女の子みたいなところがある。

仕草だったり、話すことだったり。




……本当に魔法使いだったりして……

いやいや!そんなことないよね。

魔法使いはほらっ!もっと……

もっと?

もっと……なんだろう?


わかんないけど、もっと違うってことはわかる。

魔法使いじゃ…ないよね……。



「…――そういう朱里ちゃんは?仕事、してないの?」


「………」




聞くんじゃなかった……

聞き返されるの、わかってたのに……

バカだな…私……


とっさに誤魔化すこともできず、かといって、正直に話すこともできない。

どうしよう?どう答えよう?






「誰にでも言えないことってあるよね。言いたくなったら話せばいいよ。……僕もそうするから……」

いつの間にか目の前に立っていた颯太さんが、頭をポンポンしてくれる。



私、いつか話したくなるかな?

自分は作家だって…

あなたが好きだって言ってくれたお話、私が書いたんだよって…

そんな日なんて、絶対に来ない気がする。



知らないうちに、ため息をついていたみたい。

顔を上げると、厳しい顔の颯太さんが私を見ている。


「朱里ちゃん!!」

「…はい…」

「散歩に行こう!!!」

「…へ?」

「はい!立って―!!」





無理やり玄関まで連れ去られた…

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