扉の向こう


その日は真梨も将之もいなくてパパも出張で迎えにこれなかったから1人だった。

ケータイで音楽を聴きながら歩いていると後ろの方に人の気配を感じた。
でもこのへんは家も多いし偶然同じ方向に行くのだろうとあまり気にしていなかった。
その考えが甘かった。

「ねぇ」

いきなり肩に手が触れたのだった。
誰だろうと振り返ると見たことのない男の人がいた。

「どなたですか?」

半分怯えながらも聞いた。

「君、かわいいね。よければ遊ばない?」

いくつくらいだろうか。
ぱっと見て40代?
もしくはもっとかもしれない。
よくわからないが気味が悪い。

私は無視してそのまま歩いた。
それでもついてくる。

「なんなんですか?」
「だから遊ぼう」

そう言って私の腕はおじさんの手にとらえられた。

どうしよう。

そう思ったときだった。
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