扉の向こう


「唯花せんぱい?いま男の方と話してましたよね?真梨せんぱいが心配してましたよ」

あっそっか。
真梨からしたら小島先輩は怖い人なんだっけ。

「なんかね同じマンションに住んでるみたい。唯花知らなかったけどね」
「そうなんですか。にしてもうらやましいです!」
「なにが?」
「だってあんなかっこいい人に話しかけられるなんて‥」

たしかにかっこよかった。
無造作に整えられた髪型、少し着崩した制服、ひきよせられるような瞳。
そしてほのかに香る香水の匂いは私の好きなものだった。
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