ハナミズキ
「…氷野くんには、関係ないでしょ?」
「関係ある!!」
氷野くんは、私の手を掴み、廊下へと連れ出した。
「…離して。痛いよ…」
「おまえが傷つけてきた奴の痛みはこんなもんじゃない。」
氷野くんは更に、掴む手に力を加えた。
―ギリ…ッ
「ちょ…っ、痛…っ」
そんなの解ってる。
今の私は不誠実だ。
今更、そんなこと言われたって……
「お前の痛みだってこんなもんじゃないんだろう?」
氷野くんは、力を緩め、赤くなった手首をさすりながらそう言った。