マスカケ線に願いを

「明日から杏奈ちゃんが職場復帰って思うと、嬉しいな」
「そうなの。一週間いなかっただけなのに、凄く寂しくて」

 コウと小夜さんが嬉しそうに言う。そうやって、私のことを待っていてくれている人がいるということは、本当に嬉しいことだと思った。

 人は一人では生きられないんだと、深く実感する。

「そんなことより、二人は何食べたい?」
「そうだなあ、めでたいから寿司とか?」
「お寿司屋さんだったらおそばもあるかもね」

 ということで、夜は寿司の出前をとることにした。


「それじゃあ、今日は本当にありがとうございました」
「また明日ね!」
「じゃあな」

 食事が終わった後、しばらく雑談をして腹を慣らしてから、小夜さんとコウが帰っていった。
 二人を見送って戸締りをした後、私はソファに座ってるユズに近づいた。

「ユズ」
「ん」

 私はユズの首元を後ろから抱きしめた。

「ユズ、本当にありがとう……」
「ああ」

 諦めていたのに、魔法みたいに私の居場所を取り戻してくれた。

「杏奈、また一緒に働けるな」
「うん」

 振り向いたユズとキスを交わす。期せずして、深く長いものへと変わっていく。

「んぅ……っ」

 体制が辛くなって離れようとしたのに、ユズが離してくれない。

「ユズっ」
「ん、もっと……」

 ユズが立ち上がって私を抱きしめる。
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