下剋上はサブリミナルに【BL】
後から後から涙が零れてきて、そんなオレを凝視する、洸の視線から逃れるように、慌ててそっぽを向く。


Tシャツの袖で乱暴に涙を拭いつつ、部屋の戸口まで歩を進めたオレは……。


突然、後ろから抱き締められた。


「だってお前が、勝手に進路を決めたりするからじゃないか」


……………え?


「俺の傍から、勝手に離れて行こうとするから」


オレを後ろから拘束しているのは、もちろん洸だ。


他に登場人物はいないのだから。


だけど、何故そんな体勢になっているのかが、まったくもって理解できない。


「他の奴のものになるなんてダメだ」


両肩に手を置かれ、強引に洸の方に体の向きを変えられる。


「お前は一生、俺の傍にいろ」


な、なに?


コイツ、震えてない?


そんな事を考えつつ、至近距離にある洸の瞳を呆然と見つめていたら、さらにその距離は縮まり、抵抗する暇もなく強引に唇を押し付けられた。


きつく吸い上げられて、若干感覚が無くなってきた所で舌で強引に唇を上下に開かされる。


次に何をされるか予想がつき、そこでようやく我に返ったオレは、慌てて洸の胸元に両手をついて強く押した。
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