下剋上はサブリミナルに【BL】
でも、これはオレが今まで一生懸命頑張って来たものの集大成なんだ。


それを、何故こんな風に無残に破り捨てられなくちゃならないのか、意味が分からなくて筆舌尽くし難いショックに見舞われて……。


気がついたらオレは、洸に近づき、グーで思い切り、その左頬を殴っていた。


こいつはもちろん、人のことを殴ったのなんて初めてで、拳の作り方がイマイチ分からず、指が変な角度で当たってしまってすげー痛い。


おそらく打撲でもしたんじゃなかろうかと思う。


足首だって(おそらく)捻挫チックなのに、泣きっつらにハチとはこの事だ。


「……ってぇ~…。何するんだ!」


中腰になり、口元を押さえつつ洸が呻いた。


「そりゃこっちのセリフだ!」


おれは今までの欝憤が一気に吹き出す。


表面張力ギリギリの所で留まっていた液体が、とうとう限界を越えて溢れ出したかのように。


「やって良い事と、悪い事があるんだぞ!」


ああくそ。


興奮しすぎて、涙が出てきた。


「も、ホントやだっ。お前なんか嫌いだ!二度とオレに、近づくな!!」


みっともなくしゃくり上げながら、オレは洸に最後通牒を突き付けた。
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