アンダーサイカ
ずりずりずり…。
狭い通路ぴったりの太さの体が、店から遠ざかっていく。
軒先からヒョコッと顔を覗かせて、去っていく大蛇を見送れば、
「…わ。」
案の定、他の小さなオバケたちがうまくすれ違えずに窮屈そうにしている。
「もう、無理に通るから…。」
近いし、助けに行こうとした。
でも、
「ダメ。いけませんよ。」
ヨシヤは私の手を掴んで引き留めた。店から出したくないようだ。
「なんでダメなの。あのオバケ困ってるよ。」
「すぐに別のお客様がいらっしゃいます。第一小さなきみが助けに向かったところで役には立てませんよ。
……それに、警備員に見つかっては色々と面倒です。」
笑顔のヨシヤが、どこか警戒するように辺りを見回し始めた。
―――そっか、警備員さん…。
地上人を見つけたら地上に連れ出すって言ってたっけ。
私は手伝いの身だ。連れ出されるのはまずい。
困ってるオバケを放っとくのは気が引けるけど。
私は人差し指を立て唇に添えて、シーッと黙るジェスチャーをした。