アンダーサイカ
にぎにぎと舌の感触を半ば楽しんでると、
「失礼、お客様。
この子にはまだお仕事が残っていますので、そろそろよろしいですね?」
ヨシヤが笑顔で中断を促してきた。
「え?まだ………」
“まだいいでしょ?”と訴えようと思ったのに、それより早くオバケは、するりと舌を口の中に戻してしまった。
「あー……。」
ちょっと惜しかったな…。
大蛇は口の形をにんまりと歪めると、その大きな体をゆっくりと引き戸の向こうへと下げていった。
噂を聞いてちょっと覗きに来ただけだったんだ…。
そんな冷やかし客に対してもヨシヤは頭を深く深く下げて言うのだった。
「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしています。」