アンダーサイカ
「豊花ちゃん、そっちの作業は終わりましたか?」
「…ッ!!」
前触れなく声をかけられて、
反射的に振り返れば、ヒヨコたちの接客を終えたヨシヤが、こっちに歩いて来るところだった。
「あっ、えと…………。」
―――さっきの話…聞かれてないよね…?
誤魔化したかった。動揺を覚られたくなかった。
だから慌てて段ボールの中の薬を取り出し始める。
急に動いた際に、ヒヨコオバケがコロコロと落ちたけど、上手い具合に着地した。
つかつかつかと、靴音鳴らして寄ってきたヨシヤが、私と同じように傍にしゃがみ込む。
「…………。」
「…………。」
でも、手伝ってくれるわけじゃなかった。
私がおずおずと戸棚から小箱を引き出し、薬を詰めていく。
その過程を、ヨシヤは膝に頬杖突いてニコニコ笑って見てるだけだった。