アンダーサイカ



その時だ。


「………ッ!?」



ピタッと、振りかぶるお兄さんの動きが止まった。



私を殴る一秒前。

その状態で、まるで時計の秒針を止めたように、ピクリとも動かなくなってしまった。



「え……?お、おい…!?」


後ろのもう一人のお兄さんもわけが分からず困惑してる。

揺すったり、声をかけたりしても、振りかぶったままお兄さんは動かない…。
立ったまま昏睡状態にでもなったみたい。



「…おい!なあっ!どうしたってんだよ、おい…!」


お兄さんの縋るような目が私に向けられる。

…でも私にだって、



「…わ……かんないよ…。」



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