アンダーサイカ
「……はぁ、はぁ、
…な、何なのあいつら、こっわ~!」
「……ハァ、ハァ……。」
さっきの場所からずっと走ってきたから、私も潤ちゃんもすっかり息切れ。
図書館まで戻ってきたところで、やっと一息つくことができた。
「…ねえ豊花、さっきの人達って知り合い…?」
「………ううん、知らない人。」
「じゃあなんで………。」
潤ちゃんは本当に心配そうだった。
申し訳なくなる。
端から見てたんじゃまるで状況飲み込めないもんね。
「…私のお兄ちゃんのこと、知ってると思ったから……。」
ふと、そういえば潤ちゃんには稔兄ちゃんについて詳しく話したことがなかったな…と思った。
潤ちゃんだけじゃない。誰にも詳しく話したことなんてない。
私自身よく知らないから、知ったふうにはどうしても話せなかった。