アンダーサイカ


「さっそく仲良しさんができたみたいですね。
良かったですね豊花ちゃん。」


「うーん、“仲良し”はこれからかな。」


そう言いつつも、ヨシヤの言葉がちょっとくすぐったくて笑ってしまう。


ふふ、と声をもらした時だ。



――ぐうぅぅ…


「…………。」

「おや?」



しばらく静かにしていた腹の虫が、今になって騒ぎだした。

そうだ。もうとっくにお夕飯の時間だ。


「…ヨシヤ、私もうおうち帰っていい?

お腹すいてきちゃった…。
すっごく…。」


正直、今立ってるのもつらい。

我が家は普段、きちんと三食ご飯を食べる習慣だから、私の胃袋は時間に忠実なのだ。


早く帰って腹の虫を黙らせないと…。そう思うんだけど、



「え?じゃあ丁度いいじゃないですか。
僕、今からご飯作ろうとしてたんです。豊花ちゃんが買ってきてくれたお肉を使って、美味しいお鍋でも。

どうです?良かったら食べていきませんか?」



「へっ…!?」


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