アンダーサイカ


ヨシヤの口にした「ご飯」「お肉」「お鍋」の三単語に、私は見事に釣られてしまった。


「…あ、でも……、」

でも同時に、頭の中で葛藤した。

人様んちのお夕飯を食べるなんて、友達の家に遊びに行った時しかしないもの。だからそんなに親しくない彼のご飯を取っちゃっていいもんだろうかと、私はすぐに答えが出せない。



「ふふ、遠慮しなくていいんですよ。
僕が豊花ちゃんと食べたいから誘ってるんです。二人で食べたほうが美味しいですし。」


「……………。」


あ、そっか…。
ヨシヤはいつも一人でご飯食べてるんだ。

そうだよね、お店から出れないんだもの。


お鍋作ったって、カレー作ったって、それを食べるのはいつも一人で…。


「……。」


ちょっと、可哀相だと思った。


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