アンダーサイカ


「ふふ、本当にごめんなさい。

…なぜでしょうね。
豊花ちゃんの涙を見ていたら、僕まで苦しくなってしまいました。

きみの感じた悲しみが僕にもなんとなく分かるからでしょうか…。」



「………。」


あ、そうか。

ヨシヤ…慰めようとしてくれたんだ。



私の寂しさ。ヨシヤの寂しさ。
寂しさの種類は違っても、その重さはきっと変わらない。


だからヨシヤは、
私の気持ちを分かってくれて…。



「………。」


急に自分の行動が馬鹿らしくなっちゃって、私はおでこを押さえていた手を下ろした。


「…でもやっぱり、チューはやりすぎ。…ビックリした。」


「はい、ごめんなさい。」



―――だから今からすることは、慰めてくれたお礼……。



< 230 / 506 >

この作品をシェア

pagetop