アンダーサイカ


同時に、何か決意のこもった眼差しとかちあう。

ヨシヤは口を開いた。



「…豊花ちゃん。

僕は……、」




しかし、

ヨシヤの言葉は続かなかった。

なぜなら、



――ジリリリリリッ!!!


「っ!!」

「警鐘…?」


ヨシヤが店を一歩出た時と同じ、けたたましいベルの音がアンダーサイカ中に響き渡ったから。


でも今度は、以前よりずっと長くて大きい。
お互いの声すらちゃんと聴こえないくらい。

だから私たちは大声で言葉を交わす。


「まだお客様の来店時間ではありません!
それに自分から店の外へ出たがる、いかれた商売人もそうはいないでしょう!」

「ヨシヤだってやったじゃない!」

「それはそれです!
とにかくこれは緊急事態!豊花ちゃんはひとまずここにいてください!
僕が様子を見て来ますから!」

「…う、うん!!」


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