ヤンデレパーティー
ケースⅠ クルキ


(一)


「爆殺よりも撲殺がいい」


そう言いながら、栂句琉希(とが・くるき)が持っていたのは銀の拳銃だった。


廃病院の一室。以前はスイートルームと大差なかったであろう一人部屋の大きなベッドに腰掛けながら、彼は銃の手入れをしていた。


「意味が分かりませんね。あなたの話は突飛すぎる」


意味不明発言が独り言でないと承知してか、壁に背を預けた男が眼鏡をかけ直しながらそう返事してみた。


クルキ曰くの調教師さん。白衣に眼鏡とは、この一室に相応しい佇まいであろうとも、ここはもう見放された建物だ。医者であってもお呼びでないが、調教師にとってここは体の良い調教場だった。


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