ヤンデレパーティー


もっとも、女の目は黒しか映さないのだから分かることでもないが、データとして男が“何者か”ぐらいは知っていて。

声色からも“昔の縁”で、あの男だと特定していた。


「まだ僕たちが友人と呼べる頃、君の目は見えていた。風の噂で、何でも君は、目を神に捧げたと聞いたが……、“慣れたところを見る”とだいぶ経つようだね。痛まないようで良かったよ」


「労りの言葉など要りません。今更、司教を気取ったところであなたの悪は覆らないのですから」


「司教気取りな気はなかったんだがね。単に友人としての心配だ。ああ、それに、今の僕はどちらかと言えば牧師だろう。僕はカトリックを――人に遣えることはしないのだから」


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