ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「ほんとだあ。よく見ると、新緑って綺麗かも……。中野君って、目がいいんだね?」


 視力2.0の私でも気付かなかったから、中野君はよほど目がいいんだなと思った。


「はあ? ちっともよくねえよ。最近は黒板の字が見づらくて、眼鏡を作るか迷ってる」


 ああ、そうだった。中野君は黒板を見る時、目を細めてたっけ。


 目の良し悪しじゃないとすると、どうして私に見えないものが中野君には見えるんだろう。


 そんな私の疑問が聞こえたのだろうか。中野君はこう言った。


「気持ちの問題だろうな。見ようとすれば色々見えるものも、見ようとしなければ何も見えてこない。そういう事なんじゃねえの?」


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