ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 中野君の横にチョコンと腰掛け、隣を見ると、中野君は桜の木を見上げていた。


 この間は満開の桜の花びらが風に舞っていたけど、それもすっかり散ってしまい、今は美しくも何ともない葉桜になってしまっている。


「桜の花、全部散っちゃったね?」


「そうだな」


「桜ってさ、花が散っちゃうとみすぼらしいよね?」


 そう正直な感想を言ったら、


「そうかあ?」


 中野君は驚いた顔で私を見た。


「中野君はそう思わないの?」


「思わない。花が咲いてた時の木と比べれば、そう思うのも無理ないかもだけど、新緑の緑も綺麗だと思うなあ。なんか初々しくてさ」


「ふーん。そうかなあ」


 改めて桜の木を見上げてよく見たら、新緑の薄い緑が、確かに綺麗だなと思った。


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