ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 ドアに鍵を掛け、私は部屋に引きこもった。誰とも顔を合わせたくなくて。


 今日は大変な一日だったなあ。


 私はベッドに仰向けに寝て、今日の出来事を朝から振り返ってみた。


 ろくな事がなかった一日だけど、一つだけ良かった事がある。それは、中野君に一歩近付けた事。そして、彼の優しさや気遣いに触れた事。


 ううん。触れたのはそれだけじゃない。彼の逞しい背中や胸に、直に触れたのよね……。間接キッスだって、しちゃったんだから……


 はあ……


 その時の感触や香、それと彼の爽やかすぎる笑顔を思い浮かべたら、自然と甘い吐息が口から漏れてしまった。


 体の芯がカーッと熱くなり、重い瞼をそっと閉じると、すぐさま私は、深い眠りに落ちていった。


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