ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「ここに来たのは久しぶりだなあ……」


 部屋を見回しながら、お父さんはそう呟いた。

 確かにそうかも。たぶん、私の高校受験の頃以来だと思う。すっかり忘れていたけど、私は中学まではお父さんから勉強を教わっていた。


 お父さんは頭が良くて若いから、中学程度ならどの教科でも私に教える事が出来た。下手したら先生より教え方が上手だったと思う。


 “高校生になっても教えてやるからな?”って、お父さんは自信満々で言ってたけど、実際は中学までだった。理由は、お父さんの帰りが遅くなった事もあるけど、そもそも私は、高校生になってからはちっとも勉強しなかったからだ。


「もう少し整理整頓しないとダメだな」


「わかったから、あまりジロジロ見ないでくれる?」


「あ、ああ、すまん」


 ちょっと照れたようなお父さんが、なんと可愛く思えた。そして、中野君を思い浮かべた。お父さんと中野君って、雰囲気が似てるかも……


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