ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「お父さん、あのね……」


 私はお父さんに打ち明けようと思った。私がブスに変身しようと思った経緯から、昼間お母さんと口論になった事までの全てを。穏やかなお父さんなら、私の話をちゃんと聞いてくれると思うから。


「まあ、話はじっくり聞くから、とにかくそれを食べちゃいなさい」


「う、うん」


 お父さん、眠くないのかなあ。たぶん今夜も遅くまで会社にいただろうに……。私は十分に寝て起きたところだから、ギンギンだけどさ。

 だったら、急いで食べなくちゃ。


 温かいお味噌汁を一口すすり、大きな口を開けておにぎりを頬張った。


「あ。お父さん、イクラが入ってた……」


「ほお、彩花の大好物だもんな?」


「うん……」


 お母さんは私に腹を立ててるはずなのに、私が好きなイクラでおにぎりを握ってくれていた。それを思ったら、涙が出てきてしまった。


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