ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「ほら、これを使えよ」


 中野君はそう言ってハンカチを貸してくれた。


「ありがとう」


「ったく……。俺も泣きたいよ」


 それを聞いて、涙がますます止まらなくなってしまった。



 その後、駅で解散するまで、中野君はほとんど一言も口を利かなかった。よほど怒ったのだろう。


 私も無口になり、その代わりちいちゃんは盛んに修平と言葉を交わしていた。暗い雰囲気を、盛り上げてくれようとしたのかな。よくわからないけど。


 今日、私は区切りをつけようと思っていた。つまり、中野君の事はきっぱり諦めようと。


 それがこんな形になるとは予想もしてなかったけど、これで良かったのだと思う。中野君とのキスという、思い出も出来たし。中野君に嫌われたのは、悲しいけれど……


< 271 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop