ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 なんだか立ち上がる気力も出ず、私は椅子に座ったままボーッとしていた。


 もう教室には私しかいない。もちろん修平も中野君も、誰も……


 校庭から人の声が微かに聞こえて来る以外は、殆ど音のない空間で、私は孤独感に胸が締め付けられそうだ。


 そして今頃は、告白を終えたちいちゃんと中野君は、仲よく手を繋いで帰る途中だろうか……


 あるいは、どこかへ寄り道して……


 イケナイ想像をしたら、嫉妬で胸が張り裂けそうになった。


 やっぱりキスなんか、するんじゃなかった。忘れようと思っても、ううん、そう思えば思うほど、昨日の中野君の、唇の感触を思い出してしまう。鮮明に。


 私は自分の唇に、そっと指を触れてみた。


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