ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 兄貴って、たっちゃん? どこどこ? どこにいるの?

 私はたっちゃんを探すべく、目をせわしなく動かしたけど、それらしい人物はいそうになく、そう思っていたら、視界の中でオスカル人形がまた動いた!


「ひゃっ」


 和也にしがみ付き、彼の胸に顔を埋めていたら、


「彩花ちゃん、驚かせてごめんね?」


 和也によく似た声が、不気味なオスカル人形の方向から聞こえた。


「わざと驚かせておいて、“ごめんね”もないだろうが!」


 今のは紛れもなく和也の声だ。彼の胸から振動が耳に届いたし。

 おっかなびっくり後ろを向くと、立ち上がったオスカル人形が、薄笑いを浮かべて私を見ていた。綺麗な顔ではあるんだけど、怖さや不気味さの方が勝っていた。


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