ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 私はたっちゃんに“お姫様抱っこ”をされていた。

 ううん、そんな乙女チックな表現はこの場合不適切だわ。ん……じゃあなんて言えばいいのかなあ。持ち上げられた、でいいかな。


「何すんのよ! 降ろして!」


 私はそう叫んで脚をバタバタさせた。


「暴れると放り投げるけど、いいの?」


 えっ? それはちょっと、困るかも。

 私は脚をバタバタするのはやめて、代わりに、


「降ろしてください。大声を出しますよ?」


 と言った。冷静な言い方をしたのは、その方が説得力があるかな、なんて思ったから。でも、そんなのはたっちゃんには通用しなかった。


「大声を出したら、その瞬間にキスで口を塞ぐよ?」


 こいつ、憎たらしいほど悪知恵が働くわ……


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