ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「そんな手付きじゃ俺を刺すなんて無理だから、それを寄越しな。危ないだろ?」


 たっちゃん、じゃなくてその男は、そう言って私に手を伸ばした。


「触らないで。少しでも触ったら、私はこれで自分の喉を刺します」


 私はそう言って、ハサミの先を私の喉に向けた。その男が言うように、確かに私に男は刺せないかもしれないけど、自分の喉なら刺せる、と思う。


「おい、バカな真似はよせ!」


「和也を裏切るぐらいなら、死んだ方がマシよ!」


「わ、わかったから、何も命を懸ける事はないだろ?」


 ん? それもそうね。何も死ぬ事はないんだわ。私がちょっと怪我すれば、それだけでも大騒ぎになるはずよね?


「そうね。助かったわ、ありがとう。喉じゃなくて、脚を刺す事にする」


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