ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 翌朝。

 私は鏡の前で入念なメイクをし、香水の瓶を手に取ったものの、少し考えてそれを化粧台へ戻した。


 下に降りてダイニングへ向かっていたら、前から妹の沙織が歩いて来た。でも、“おはよう”なんて挨拶はしない。私からも沙織からも。互いに知らん顔で、無言ですれ違うのが常だ。


 それにしても沙織の制服姿に腹が立つ。スカートが長く、着こなしのダサさが癪に障るけど、もっと頭に来るのは私の制服と同じって事。


 そう。沙織はついこの間、私と同じ高校に入学して来た。


 沙織が私と同じ高校を受験すると知った時、それだけは止めさせようと、私はお母さんを通じて抗議した。沙織は勉強は出来るらしいから、もっと偏差値の高い高校を受けるべきだと。


 ところが沙織は言う事を聞かなかった。その高校が近くて楽だから、だそうだ。当然ながら余裕で合格したらしい。私はすれすれだったというのに。


< 47 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop