ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 いつも通り無言ですれ違ったところで、沙織が「あれ?」と言った。

 立ち止まって沙織を振り向くと、向こうも私を見ていた。


「何よ?」


「お姉ちゃん、香水つけ忘れてるよ?」


「忘れたんじゃないわよ」


「つけないの? なんで?」


「そんなの私の勝手でしょ!?」


 まさか、“中野和也という男子から臭いと言われたから”なんて言えるわけもなく、私はそう言って怒鳴っていた。


「怒ることないじゃん。ずっとやめた方がいいと思うよ? 臭いだけだから」


「ほっといて!」


< 48 / 417 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop