ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
 昼休み。教室でお母さんに作ってもらったお弁当を食べ終えると、私は中野和也をチラッと見て、意を決して立ち上がった。


「彩花、どこ行くの?」


 隣の席に来てお弁当を食べていた恵美が、私を見上げてそう聞いた。


「ちょっと話して来る」


 私がそう答えると、恵美は中野和也に目をやり、


「中野君と?」


 と、目を丸くして言った。普通の大きさの声で。

 恵美って、声をひそめるって事を知らないんだろうか……


 前に座ってる高木千尋に聞こえたんじゃないかと思い、その背中を見たけど、意外な事に高木千尋の反応は何もなかった。


 まあ、いいや。


 ニヤニヤしながら手をヒラヒラさせる恵美に舌打ちし、私は中野和也に向かってゆっくり歩きだした。


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